工業用ゴムに利用する材料の種類は？特徴や用途などを解説

ゴムの材質

ページ公開日：2018-11-08

今日、工業用ゴム（産業用ゴム）は自動車向けを中心に、さまざまな幅広い分野で活躍しています。
工業用のゴム製品は大きく「天然ゴム」と「合成ゴム」の2つの素材から製造しており、天然ゴムは樹液で、合成ゴムが石油が中心と、原料に大きな違いがあります。
また、天然ゴムと合成ゴムは素材の種類が豊富で、利用用途に合った素材を選ぶ必要があり、なぜなら熱に強いものや耐久性に優れたものなど、それぞれ違った特性を持っているためです。
ここでは工業用ゴムに利用される代表的なゴム素材の特徴や用途をご紹介いたします。

天然ゴム(NR)

①特性と長所

天然ゴムは木の樹液から精製されるゴムで、合成ゴムとは違い、用途によって化学的に特性を変えるなどは行っていないので、ゴム本来の弾力性が特徴的といえます。
また、バランスの良い性質をもっており、耐摩耗性や伸縮性に優れた特性があります。

②短所

耐熱性や耐油性が他のゴム素材と比べ、劣っており、また原料が天然の樹液ということもあって、ゴミなどの異物が混入している場合があり、価格や物性が変動しやすくなっています。

③用途

機械特性と相性が良いため、自動車（特にトラックなどの大型自動車）のタイヤやホース、履物（靴底）などに利用されることが多いです。

ウレタンゴム(U)

①特性と長所

ウレタンゴムは、機械的な強度において優れた素材で、耐油性にも強い特性があります。中でも摩耗性や荷重負荷への耐性に優れ、強い衝撃で起こる破壊などが起きにくくなっています。また寒さに強いのも特徴的で、-20℃から-40℃程度でもゴムの弾性を保つことができます。

②短所

ただし、水に弱いため、加水分解の影響で劣化する特性があります。また耐熱性もあまり優れておらず、そのため高温多湿な場所での使用は不向きと言えます。

③用途

強力な負荷がかかるものに耐性があるので、工業用ロールや高圧パッキン、その他タイヤ・ホースなどに利用されています。

フッ素ゴム(FKM)

①特性と長所

耐熱性に非常に優れたフッ素ゴムは、200℃程度の熱にも耐えることができるため、耐熱性の領域において、合成ゴムの中でも「最高クラス」といえます。その他にも、油やオゾン、薬品などにも耐性があるため、幅広い用途で利用されている素材です。硬度も他のゴム素材と比較して硬い点も特徴です。

②短所

薬品に強いフッ素ゴムですが、ケトンや有機酸といった薬品に対する耐性は弱い特徴があります。また寒さに弱い点も挙げられます。

③用途

一部を除き、耐薬品性に優れた特性があるため、プラントや化学工場などのパッキンやダイヤフラム・ポンプ部品で活躍します。また耐熱性の高さから、ロケットのパッキンにも採用されています。

シリコンゴム(SI)

①特性と長所

シリコンゴムの特徴は、熱と寒さ、両方の耐性に優れている点です。180℃～200℃の高い温度から-50℃～-60℃の非常に低い温度の中でもゴムの特性を損なうことなく利用することが出来ます。また雨風や紫外線の影響が大きい野外で利用されても、ほとんど変化しない耐候性や電気特性も他のゴムと比べ、秀でている特徴もあります。